
どうも、こんにちは。
岩手を中心にストーリーマーケティングコンサルタントとして活動しております、藤原です。
前回の記事で「ストーリーマーケティングとは?」について詳しく解説しました。
ぼんやり、ストーリーマーケティングがどんなものかはご理解いただけたかと思います。
今回はストーリーマーケティングの全体像を掴んでいただきたく、概要をもう少し詳しく説明していきたいと思います。

ストーリーマーケティングの構成
ここでストーリーマーケティングの定義のおさらいです。
ストーリーマーケティングとは、「人間が抗えない」ストーリーの力を使って自社を強力にブランディングしたり、商品の販売促進を行ったりするマーケティング手法のことを指します。
特に会社やお店のストーリーを発信していくことは、自社・自店をブランディングすることが目的となります。
短期的な売上を上げることを目標とするのではなく、長期的に売上を上げ続けられるように、ストーリーを使って消費者との関係を築く、ということですね。
このストーリーで自社・自店をブランディングすることを、私は「ストーリーブランディング」と呼んでいます。
ストーリーマーケティングという大きな枠の中に、このストーリーブランディングが存在する、と捉えてください。
ストーリーブランディングを行うには、次の3つの要素を作る必要があります。
- コーポレートコンセプト
- コーポレートストーリー
- コーポレートブランド
ひとつずつ説明していきます。
コーポレートコンセプトとは、経営理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)、パーパス(企業の存在意義)などをステークホルダー(顧客や企業関係者)向けに分かりやすく再構成したものです。
「御社はどういう会社なんですか」という質問の答えになり、その『企業自身』とも言える概念になります。
・何を目的として、どんな事業を行っているのか?
・なぜ自分たちがこの事業を行うのか?
・事業を通してどんな理想世界を実現したいのか?
こういったことを簡潔にまとめたものがコーポレートコンセプトです。
会社やお店の「幹」や「心臓」部分に値する、とても大事な部分になります。
このコンセプトを通して自分たちのことを理解してもらうことで、ストーリーでのファン化がより進むようになります。
また、コンセプトがあることで企業・店としての目的や価値観がはっきりし、全従業員が同じ方向を向いて業務に取り組めるようになります。
では次に、コーポレートストーリーについて。
これは、『自社らしさ』が伝わる自社にまつわるストーリーのことです。
自社の理念や強み、特徴などが反映されたものがストーリーになりやすい傾向があります。
言い換えれば、コーポレートコンセプトが反映されたものがコーポレートストーリーになりやすいとも言えます。
・会社・店舗が誕生するに至った背景
・創業者や経営者、作り手の想い
・事業を続けていく上で起こった重要なこと(転換点など)
などを物語として明文化したものがコーポレートストーリーになります。
ストーリーは自社のコンセプトやブランドを広める媒体にもなるので、当然ですが重要です。
『ストーリーマーケティング』ですからね笑
では最後に、コーポレートブランドについてです。
これは、消費者が勝手に抱く、自社のイメージ(妄想)のことを指します。
同じ会社に対するイメージでも、人によって、「あの会社は質がいい商品を作っている会社だ」「あの会社はあまり質が良くない商品を作っている会社だ」と分かれることがありますよね。
これがブランドイメージです。
ただ商品を作って売る、ということをしているだけでは、このようにイメージにばらつきが出てきます。
そこで、自分たちが意図するイメージに近づくよう、消費者が持つブランドイメージを調整する必要が出てきます。
これが「ブランディング」です(一般的なブランド論とは少し異なります)。
ブランディングは、ブランドアイデンティティ、ブランドプロミス、ブランドパーソナリティといったブランドの土台部分を築き、ブランドロゴ設定後、ブランドの発信を通して行っていきます。
また、ストーリーマーケティングにおいては、コーポレートストーリーの内容もブランドイメージに反映されるのでブランディングと密接に関係があります。
この「コーポレートコンセプト」、「コーポレートストーリー」、「コーポレートブランド」を作り上げることで、企業の核となる部分ができあがります。
「ストーリーブランディング」と言っても、ストーリーを作るだけではブランディングにはならない、ということですね。
そして、コーポレート・ストーリーブランディングを行うことで、理念やブランドと整合性があるストーリーやメッセージを発信することができるようになります。
そして、発信や活動を通して、自社・自店のファンを効率よく増やしていくことができるようになります。
コーポレート・ストーリーブランディングの事例
では、実際にこのコーポレート・ストーリーブランディングを行っている企業の事例を見ていきましょう。
今回ご紹介するのは、株式会社山田養蜂場さん。
ローヤルゼリーをはじめとした、様々な健康食品や化粧品の製造・販売を行っていらっしゃる企業さんです。
山田養蜂場さんの企業理念は以下のようになっています。
山田養蜂場ホームページより http://beekeeper.3838.com/profile/rinen/
- 一、我々は、自社のルーツである養蜂業を通じ、ミツバチの「自然との調和の姿」に触れることができた。その姿から「自然環境の大切さ」を知り、謙虚に学ぶことが、我々の企業活動の規範である。
- 一、我々は、ミツバチを通じて学んだ「自然への感謝と畏敬」の念、「社会に対する奉仕」の気持ちを常に心に刻み、「自然と人間社会との調和に貢献する」ことを目指す。
- 一、我々は、まさにミツバチのように「勤勉」に「創造的」に自分達の持ちうる限りの知恵と力を結集して、「自然の恵み」を人間社会における最大の価値である「心身の健康」に、広く役立てることを使命とする。
なぜこれほどミツバチをフューチャーしているか、気になりますよね。
その疑問が解決してくれるのが、山田養蜂場さんのコーポレートストーリーです。
山田養蜂場がローヤルゼリーを生産販売するきっかけとなったのは、昭和35年に創業者の娘が、先天性の心臓疾患を持って生まれてきたことでした。専門の医者は、体力がついたころに外科手術を受けることを勧めました。 生後間もなく判明した娘の難病を知った創業者は、「何とか元気に育てて、心臓の手術をさせたい」と決意し、父親としてあらゆる手を尽くしました。
山田養蜂場ホームページより http://beekeeper.3838.com/profile/rinen/
おりしもその当時、ローマ法王ピウス(ピオ)12世がローヤルゼリーを健康維持に役立てたというニュースが世界中をかけめぐり、日本にも伝わってきました。 そのニュースに接した創業者は、自らの飼育するミツバチがローヤルゼリーという物質を生産できることを知りました。 創業者は「このローヤルゼリーは、もしかすると娘を元気に成長させることができるかもしれない」と、その日以来さまざまな文献を取り寄せて研究を重ねました。そして、独自にローヤルゼリーを大量生産する技術を習得するに至ったのです。
創業者の娘は、結局、手術の甲斐なく亡くなってしまいました。
娘の死に創業者は大きなショックを受け、何日も涙する日が続きました。 しかし、「自分の子はもう返ってこないが、悲しみに打ちひしがれているだけでいいのか。世の中には、娘と同じように、病気や障害で苦しんでいる人がたくさんいる。娘は大切な命と引き換えに、多くの人々の健康を守るために、私の仕事の使命を教えてくれたのだ」と立ち直りました。 創業者は、なお一層本格的に養蜂と養蜂を通じたミツバチ産品の開発に取り組む決意を固めたのでした。
初めてこのストーリーを知った方は、同社の見方が少しなりとも変わったはずです。
こういった背景があったから創業したと知ったら、俄然、この企業さんを応援したくなるかと思います。
これがストーリーの力です。
このストーリーは、ブランテッドムービーにもなっています。
それがこちらです。
5分ほどで見れますので、是非ご覧ください。
BGMとナレーションがつくと、お話の雰囲気がぐっと出て、より見ている側の感情が動くようになりますね。
商品のストーリーブランディング

ここまでコーポレート・ストーリーブランディングについて解説してきました。
お気づきの方もいるかもしれませんが、今まで解説したのは「コーポレート」、つまり企業やお店のストーリーブランディングについてです。
当然、商材(商品、サービス)についてもストーリーブランディングは存在します。
商品のストーリーブランディングを「プロダクト・ストーリーブランディング」と呼びます。
このプロダクト・ストーリーブランディングの構成要素は、コーポレート版と同じです。

図のように、「プロダクトコンセプト」、「プロダクトストーリー」、「プロダクトブランド」の3つの要素で成り立ち、この3つを作ることで商品のコア部分が出来上がります。
プロダクトコンセプトとは、誰のどういった悩みをどうやって解決するか、といった商品の核となる部分になります。
商品アイディアの設計書のようなものと捉えてください。
このコンセプト次第で、売れる商品になるかがほぼ決まってしまいます。
次にプロダクトストーリーについて。
これは、商品の開発経緯や商品購入後に行ける未来を物語にしたものです。
見込み顧客の興味を引き、共感を誘って購入へと繋げるために作成します。
企業のサイトやECサイトなどに記載されている商品説明は、箇条書きや説明口調で商品の特徴やウリとなるポイントが書かれていますよね。
ですが、物語の中でそれらを表現することで、押しつけがましくなく、自然な形で消費者に訴求することができるようになります。
最後に、プロダクトブランドについてです。
プロダクトブランドとは、消費者が勝手に抱く、商品に対するイメージのことを指します。
これをこちら側が意図するものに調整することで、販売促進を強化することができます(=ブランディング)。
商品の内容自体はコンセプトでほぼ決まってますので、商品の「見せ方」部分を作っていくのがプロダクトブランディングになります。
具体的には、
- ネーミング(商品名)設定
- パッケージ、ロゴ設定
- ストーリー掲載
- 価格設定
このようなことを行っていきます。
特にネーミングは認知を広げるうえで重要な要素になります。
それまでは中々売れなかった商品が、ネーミングを変えたら途端に売れるようになった、というケースはたくさんあります。
売上を大きく左右する箇所なので、ここは手を抜かずにやっていきたいものです。
このプロダクト・ストーリーブランディングを行うことにより、商品のストーリーの発信を通して商品が売れやすくなっていきます。
プロダクト・ストーリーブランディングの事例
商品のストーリーを発信している企業さんはたくさんあるのですが、ここでは有名なAmazonさんの例をご紹介したいと思います。
AmazonプライムさんはTVCM、YouTubeで販促のムービーを放映されています。
その中で特に反響が大きかったのが、このムービーです。
「注文したら翌日届く」というサービスのメリットを、物語の中でうまく伝えていますよね。
視聴者は「こういうとき、便利だな」という具体的なベネフィット(使用後にどんな未来へ行けるのか)をイメージできますし、心温まるストーリー内容でサービスや会社に対する好感度も上がります。
視聴者の中には、「自分もAmazonでおばあちゃんにヘルメットを贈って、ツーリングに連れて行こうかな」と思った方もいるかもしれません。
押しつけがましくなく、商品の良さを伝えられるのがプロダクトストーリーの最大のメリットです。
まとめ
- ストーリーマーケティングは、ストーリーブランディングを行ったあと、ストーリーを発信していく手法
- ストーリーブランディングの対象はコーポレート(企業・店舗)とプロダクト(商品・サービス)の2種類に分けられる
- コーポレート・ストーリーブランディングは自社のブランドを確立し、ファンを作って長期的に売上を上げ続けるために行う
- プロダクト・ストーリーブランディングは、商品のストーリー発信を通して商品を売れやすくするために行う
ストーリーブランディングの具体的な実践方法は別の場所で解説していますので、お知りになりたい方はコチラからお問い合わせください。
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